【悲報】禁書の上条当麻さんの新しい能力、遂にお披露目するも何なのか分からない
※ここから原作最新刊のネタバレを含みます!
創約の第9巻にて、とうとう上条は自らの意志でこの力を振るう。
美琴の超電磁砲により右腕が引き千切られ、肩の断面から出現したのは───透明なドラゴン。
その時、上条の頭の中からもう一人の少年の声が聞こえてきた。
『……良いよ』
『こっちだって、いい加減にムカついていたところだ。もう加減はナシ。テメェがやらなきゃ俺が勝手に表に出ていたところだぜえ!!!!!』
そして上条は己の目を赤く染めながら、呪いのように呟いた。
「……こんな右手がなければ」
この瞬間、ありふれた高校生はただの無能力者である事をやめた。
作中では『竜王の顎』と表記されてはいないが、たびたび竜の大顎と表現されている事から、それと同じ力だと推測されている。
上記の顕現は、ドラゴンの顔と首にあたる部分しか出て来なかったが、今回はほぼ全身丸ごと上条の右肩から飛び出した。
その力は、まさに次元が異なる。
まず上条自身の身体能力が向上し、たった一秒でローゼンクロイツとの全ての距離を詰め、デコピンのような些細な小突きで彼を数十メートルもぶっ飛ばすほどの常人離れした速度と膂力を得た。
この状態の上条は超人と称され、人間としての限界を軽く越えている。
空間を支配する力もあり、ローゼンクロイツを殴り飛ばした後に上条が一歩踏み出した時は、空間がたわみ歪んで沈んだような現象が起きた。
もう少し強く踏み込んでいれば、空間が内側に向かって重力的な崩壊を起こして、取り返しのつかない大穴が空いていたかもしれない……と表記されている。
さらに、ローゼンクロイツが意図的に放った攻撃の流れ弾が上条とは関係ない所へ着弾しようとした瞬間、その攻撃は虚空に消えている。
ローゼンクロイツが言うには「強き必殺の意志を込めた一撃以外は、意味と共に空間に呑まれて消失する」「確率論を無視して一律で不幸に見舞われる上条当麻は敵のラッキーパンチを、ローゼンクロイツは己の情念や遊び心に反する偶然的言動をそれぞれ嫌うため、結果このような歪みが生まれた」らしい。
この言葉を解釈するなら、上条当麻と敵対者の意志によって戦いの場の条件が変わるという事だろうか?
他にも出来る事が幅広く、
ドラゴンらしく凶暴極まりない光のブレスを吐く。
竜の大顎そのものが右肩から外れて飛ぶ。
巨大な顎を不規則に開閉させ、ギロチンやトラバサミでも出せない不気味な音色を発する。精神系能力者の頂点に位置する食蜂の憶測では「心理学的アプローチの金縛り」で、耳にした食蜂と美琴は恐怖でその場から動けずにいた。
カメレオンのように口から長い舌を伸ばす。
変温動物の周辺の環境に溶け込む力で、上条と共にその姿を消す。
幻想の異能だろうと現実の物だろうと、容赦なく噛み潰して世界から抹消する。
トカゲの尻尾切りを体現した、竜の尾を身代わりに一回だけダメージ(絶命)を免れる。
ドラゴンの顔にあたる部分、その表面の鋭い鱗を散弾のように一斉射出する。
光のブレスだけでなく、毒液を超高水圧で放つ。
ロールシャッハテストの要領で、上条から飛び散った血の汚れに相手の知識やイメージを嵌め合わせ、魔術を引きずり出して自滅させる。しかし相手が何を連想するのかまでは誘導できないため、上条自身も巻き添えを喰らう両刃の剣でもある。
コウモリに似た禍々しい翼を生やして空気の塊を砲弾のように押し出す。さらにその空気が帯電までも起こした事なら、気圧を自在に従えて気象操作まで行っている模様。
と、あまりにも多彩すぎる能力を見せつけている。
特筆すべき能力は従属化である。
王冠を載せた竜の王の『威圧』でもって、なんと生物だけでなく無機物に至る世界の全てを操り、従わせる事が可能。
竜王に従った物は、王の邪魔にならぬように自ら動き出す。ブレスが吐かれれば、その起動に合わせて壁や天井の着弾部分が分かれて避け、そして元に戻る。明記されてはいないが、上述の「全てを従わせる」という言い方的におそらく人間も対象内であり、戦場から離脱させる事もできると思われる。
つまり流れ弾、人質、他者の命を一切考慮せずに力を行使できるため、この上条を止める枷は無いに等しい。
また、周囲の物を取り込む事で、より強力なブレスを放出できる。
その場合は上条自身の口で咀嚼する必要があるようで、創約9巻では病院地下にある医療廃棄物焼却炉……最大で摂氏3500度に達する特殊な大型電子炉を喰らって『電子により全てを焼き尽くす竜の閃光(マグネトロンドラゴンブレス)』を解放した。
『超電磁砲』で他のドラゴンを呼び出したような力も見られ、北欧神話のヨルムンガンドの重みを利用して右肩を除く全身の止血を図っていた(ヨルムンガンドそのものを出現させたのか、あくまでも重量だけを再現したのかは不明)。
『橋架結社』の超絶者や、『黄金』との死闘を制して世界を科学と魔術に分けた『人間』アレイスター=クロウリーさえも圧倒した伝説の魔術師クリスチャン=ローゼンクロイツを相手に、ほぼ一方的に戦えるほどのあまりにも絶大な力だがリスクも存在し、それは上条の存在が危うくなるというもの。
作中では「幻想になる」とも「侵食されていく」とも言われ、その危険信号として上条の影が古ぼけた蛍光灯のように明滅する。
それ以外にも、この形態は常に右腕が欠損していて血液が断面から流れ放題のため、大量出血による失血死のリスクも伴う。実際に、後一歩のところまでローゼンクロイツを追いつめたものの、出血多量で上条に限界が来てしまいドラゴンが一度掻き消えてしまった。後に、一方通行の指示でアシストに回っていた風斬氷華とクリファパズル545が、上条の体内にて心臓を動かした事で再起動させ、アレイスターと共にローゼンクロイツを撃破する。
お陰で、影の方のタイムリミットを迎えなくて済み、なんとか上条は無事に生還できた。
しかし、もしも時間切れとなっていたら、どのような結末を迎えていたのか。
後に振り返った上条はこの力を「死へ向かう一本道」と認識しており、地の文でも戦場に誰も残らない繋がる事のできない拒絶の道とも表現されている。
なお、この状態の時の記憶はあまり覚えていないようで、意識が朦朧としていたからなのか、それとも禁忌に触れすぎて脳が思い出す事を拒否しているのかは不明とのこと。
なんにせよ、上条はもう二度とこの力を使わない事を決めた。
あとがきでも一回限りの反則とも言われているので、少なくとも上条自身の意志で『竜王の顎』が解放される事は今後ないだろう。