大物アニメ監督「日本アニメは正直に言うとガラパゴス化している。世界に向けて大人向けアニメを作るべき」

例えば、国際アニメーション映画祭に行くじゃないですか。僕も審査員を海外でやったことがあるんですけど、「日本のアニメは面白いね」と言っていた審査員が、「だけど賞はやれない」「みんな同じでしょ」と言うんです。
海外のアニメーションの主流というのは、例えば『フナン(FUNAN)』(2018年仏アヌシー国際アニメーション映画祭長編グランプリ受賞)というフランスの映画。デニス・ドゥというカンボジア系の監督ですけど、ポル・ポト時代のことを描いています。また、アイルランドのノラ・トゥーミー監督の『生きのびるために(THE BREADWINNER)』(同長編審査員賞受賞)は、タリバーン支配下のアフガニスタンを描いていますね。スペインのラウル・デ・ラ・フエンテ氏とポーランドのダミアン・ネノウ氏が共同監督を務めた『アナザー・デイ・オブ・ライフ(ANOTHER DAY OF LIFE)』(19年東京アニメアワードフェスティバル長編グランプリ受賞)は、アンゴラ内戦を描いています。
そういう世界になっているんです。つまり世界のアニメーションは子供や、いわゆる思春期に向けてじゃなくて、直接大人に向けて語り始めているわけですよ。少なくとも国際映画祭に関して言うと、日本のアニメーションは、そういうものと戦ったときに勝てないんです。
■気恥ずかしいほどの「ガラパゴス化」
――私には日本アニメは世界で輝いているように見えるけど、実は課題を抱えていると。
日本アニメーションは、正直に言うとガラパゴス化しています。何度も言いますが、海外の映画祭に行ってみたら分かります。完全にガラパゴスです。日本のアニメが出てきた途端に、なんか気恥ずかしい気持ちになって、海外の審査員の人が「またか」って言う。