ドラクエ7がシリーズ屈指の“鬱ゲー”とされる理由がこちら
「鬱ゲー」といわれるゲームジャンルがありますが国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズにもその称号(?)を獲得しているナンバリングが存在します。そう『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』です。エピソードやゲームシステムと絡めつつ、改めてその理由を紐解いていきます。
●ドキドキの冒険心を出鼻で挫く「ウッドパルナ」編のマチルダ
『ドラクエVII』の鬱ゲーたるゆえん。それは序盤の村「ウッドパルナ」編ですでに集約されていると言ってもよいでしょう。その理由を解説するためにも、まずは『ドラクエVII』が他のナンバリングがどのように異なっているかをおさらいする必要がありそうです。
まず他ナンバリングと違う点は世界設定です。主人公たちは魔物もいなければ敵国も存在しない「平和な世界」に住んでいます。さらに冒険へと駆り立てる動機もまた「魔王を倒さねば」といった使命感ではなく「遺跡を探検しよう」という実に無垢な好奇心です。そしてこのワクワクに満ちた導入部こそ『ドラクエVII』における最高の“ミスリード”的演出となります。
そして謎解きアドベンチャーのような遺跡を抜けた先に待ち受けるのが「ウッドパルナ」編。魔物が跋扈(ばっこ)する封印された小島での物語です。そこで出会ったマチルダという女戦士の助けを借りて「おやおや『ドラクエ』らしくなってきたぞ」と冒険を進めていけば、最初に出会ったマチルダこそ実は人間を恨み魔物へと姿を変えた黒幕だと明かされるのです。ところがそのマチルダはまだ人間の心が残っており、主人公たちは断腸の思いで刃を交えなくてはならないという展開へと発展します。
落差が激しいのです。平和な世界における幼なじみとの「探検ごっこ」だったはずが、異世界へと放り出された直後にはもう「魔物とは? 悪とは?」という極めて高次元の問いかけがなされます。このスパルタぶり、さすがとしか言いようがありません。以降「モンスター=悪/人間=善」という二項対立への疑念が本作の重大なテーマとなります。